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RESIDENTS 人々・レポート | 2019-07-05

天然こうじ菌を使った宮古味噌づくりに密着!おばぁの伝統の味を受け継ぎ、汗と煙の中で今日も薪をくべる

朝の9時。宮古島の砂山ビーチに向かってます。
今日は、ビーチの取材…ではなく、砂山のほど近くにある宮古味噌の醸造加工販売所、創業50年近くになる「マルキヨ味噌」さんに見学させていただくことになりました。

と、道沿いに大きな看板が。「量り売りシーユーサイガ! (量り売りもやってるじゃん! というような意味。)」

大釜で大豆を茹で上げる

代表の下地さんと、従業員のみなさんに挨拶し、あわただしく工場に入らせていただくと、すでに大鍋で大豆を茹で上げる最初の作業が始まっていました。すごい湯気と熱気、そして煙です。かまどに火をくべて、直火加熱しています。

かまどに火を絶やさないよう薪をくべつつ、時々水を足しながら、昼ごろまで3〜4時間かけて茹で上げていく工程です。

かまどにこだわる理由

かまどに薪をくべる代表の下地さん

── なぜ、ガスではなくかまどなんですか。

下地さん: かまどはガスに比べて火力が強いし、なにより火力がやさしいんです。大豆が全体的にふっくらと仕上がりますね。また、初代(後述)の製法をそのまま守っている面もあります。

──火熱と煙で、汗と涙が止まりません(笑)。このなかでいつもお仕事されているんですか、大変ですね... 。

冬は暖かくて気持ちがいいですよ。
ただ、湿度の高い時期が大変かな...。長靴が汗びっしょりになります(笑)。

宮古味噌の素(もと)、天然こうじ菌

こちらは、今回ご好意で特別に見せていただいた、天然のこうじ菌。
大豆が味噌になるまで発酵・熟成させてくれる、大事な存在です。
国内で流通する味噌のほとんどは、人工的に純粋培養した菌を使っているそうなんですが、ここマルキヨ味噌は、日本でも数少ない、天然こうじ菌を使った味噌メーカーなんです。

マルキヨ味噌の味噌蔵に住んでいる、天然こうじたち。彼らが樽の中でせっせと発酵してくれる味噌は、他のどこにもない、宮古の風土の味わいになっていくのでしょう。

伝統の即席味噌汁「たてぃ汁」

取材の合間に、宮古の伝統的な味噌汁、「たてぃ汁(じる)」を試食させていただきました。お椀に鰹節と宮古味噌を1人分入れて、お湯を注いで1分ほど置いたら完成。簡単でおいしいって、最高ですね。味の深みとほどよい酸味があり、飲んだ後、胃がポカポカしてきて驚きました。

「昔の宮古では、風邪ひいたときとか二日酔いのときは、薬代わりにこのたつじるを飲んでいたんですよ。今でも地元では良く飲まれています」とスタッフのYさん。溶き卵を入れるのがスタンダードだそうですが、今回はアーサ(青のり)入り。ごちそうさまでした。

大豆とこうじ菌の出会い

昼休憩をはさんで午後になりました。ほどよく茹で上がった大豆をペースト状に加工し、天然のこうじ菌と混ぜ合わせる工程です。
ふたつの異なる素材が、大きな丸い石うすの中でダイナミックに混ざり合っていきます。

熟成・発酵へ

混ぜ合わさった味噌を、樽の中に敷き詰めていきます。この樽の中で数カ月〜1年以上熟成され、宮古味噌が出来上がっていくんですね。
味噌蔵には、100kg〜入りの味噌樽が何十も並べられ、出荷の時期が来るのを静かに待っていました。

熟成して数カ月の樽を見せてもらいました。
色がだいぶ茶色に変わり、味噌らしくなっています。白い粒が見えるのは、こうじ菌だそうです。

創業者、下地キヨさん物語

「マルキヨ味噌」の名はキヨさんの名前から

さかのぼる事、今から約50年前。ここで味噌の製造販売業を始めたのは、代表の下地さんの祖母にあたる、(故)下地キヨさんでした。
農家だったキヨさんは、50代でご主人に先立たれ、4人の子を育てるために一念発起。かつて母から教わった宮古味噌作りで生計を立てる決意をします。

三輪車に手作りの味噌を積み、行商を始めたキヨさん。舗装などされていない昔の田舎道を、平良の街までの往復の日々です。
苦労の末、キヨさんの味噌は徐々に人々の評判を呼ぶようになり、販路が拡大していきました。

それからのキヨさんは、味噌作りの合間をぬって原付バイク免許を取得して行商の効率化を図り、トタン屋根だった工場をコンクリート造に改築するなど精力的に活動し、事業を成長させていったのでした。

時は過ぎ、孫にあたる現代表の下地さんが引き継がれたことをキヨさんは喜んでおられ、晩年までお店のことを気にかけていたそうです。

丁寧にパックされ出荷されていく味噌

熟成され、出荷の時期を迎えた味噌が、スタッフの手によって丁寧に梱包されていきます。
マルキヨ味噌は、島内の各スーパー、島の駅、各市場などで購入することができます。

伝統の味を守り続ける

── 味噌作りのお仕事で、一番やりがいを感じる瞬間はどんなときですか。

下地さん:どの瞬間が一番、というと難しいけど(笑)。
味噌は、日本を代表する調味料のひとつで、優れた保存食品。日本人なら誰でも、味噌汁が飲みたくなるときがあるでしょう。そんな愛される食品を作る事ができて幸せだし、この仕事に誇りを持っています。
私は味噌作りのすべての作業にやりがいを感じていて、この仕事を天職だと思っています。END

店名 マルキヨ味噌
住所 〒906-0008 宮古島市平良字荷川取651 MAP
営業時間 9:00~17:00 日・祝定休
見学 事前にお問い合わせください。
問い合わせ 0980-72-1816
備考 店頭販売も行っています。